開かない窓
よく見ると、過去の学園祭で使用されたらしきパーラーの立て看板やら、青いビニールシート、なぜか交通安全の標識まで置かれている・・・・・・。

俺は障害になっているカラーコーンをどけつつ、道を塞ぐように倒れてる本棚を跨いで越え、先へ行った彼の後へ何とか追い着くことができた。

奥の床に、明らかに今までの床とは違う板が何枚も重ねるようにひいてあった。神条さんはそれを1つずつ剥していく。

「よっと・・・・・・」
最後の1枚を剥がし終えると丁度、人一人が何とか入れるくらいの穴が開いていた。

「!!」
俺は声が出なかった。

「ここから先は、旧校舎の裏口付近に繋がってるんだ」

神条さんは、ぽっかり開いた穴を指すと何の感情も込めず、さらっと俺に告げた。

これは、その・・・・・・いわゆる隠し通路って奴じゃないだろうか。ドラマや何かでよく見るアレがまさかウチの高校に存在したってのも驚いたが、それをあって当然のように言ってのける彼に俺は一番驚かされた。

嘘でもいいから、もう少し驚いたように言ってはもらえないだろうか。

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