開かない窓
穴に入ると、ずっと暗闇が続いていた。こんな事件があったばかりなのに、今からここを通らなくてはいけないのか・・・・・・正直家に帰りたくてしょうがなかったが、手がかりの為だと自分に強く言い聞かせ、なんとか追いついた彼の後について歩き出した。

通路は思っていたより広く足音が反響する。先は暗くて、ほとんど光が見えない。本当にこの先に出口が存在するのかと疑ってしまうような、そんな空気。

時折、どこからか臭う、カビと錆びた鉄が混じり合ったかのような汚臭。何が喋らないと、このまま闇に飲み込まれそうな感覚。


俺は全てが嫌だった・・・・・・


そこで、俺は気を紛らわす為にも前から気になってた事を、先を進んでいる神条さんにワザと聞こえるように言ってみた。

「ここ、結構綺麗なんですね。」

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