開かない窓
「そう考えるのが良いんだろうな。涼夜も誰かから聞いたらしいから・・・・・・。」

口ではそう言ってるが明らかに納得はしていなさそうだ。確かにこんな所にある通路の存在を誰でも知ってたら、ある意味怖い。

そう思っていても口にはせず俺達は時折、鼻につく鉄錆びの様な臭いに顔を顰めながら、薄暗い道をひたすら進んで行く。ゆるい曲がり角に差し掛かった辺りで、俺はホコリに埋もれた何かの切れ端を見つけた。

「ん?」

俺は切れ端をそっと引っ張って摘むように持ちながら、軽く宙でホコリを振り払ってみた。
そして、姿を現したそれは一枚の写真だった。

(何でこんな物が?)

その写真には、女性がアップで写っていた。
制服を着ているので、同年代位か。

裏を見ると日付は【20**.4.5】と書かれていた。どうやら、この写真は今から10年前に撮られたものらしい。

写真の中の女生徒はすごく幸せそうに微笑んでいる。

(……ん?あれ?)


初めてじゃない。俺はこの女性に見覚えがある。


俺は、何か大切な事を忘れているんじゃないだろうか。


ついその写真に目を奪われてしまい足をとめた。



なかなかついてこない俺に痺れを切らしたのか、神条さんが声をかける。

「おい、どうした?」

「写真が落ちてたんです」


それを聞くと、彼は訝しげな表情を浮かべ、写真を覗き込むようにして見た。

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