開かない窓
「この制服・・・・・・ウチの学校の生徒じゃねーか」

そうだ。この制服は、間違いなく、ウチの高校の制服だ。
なぜ散々写真を見てた俺が、全く気付かなかったか、



「さっさと行くぞ。」

「あ、はい。」

俺は、この写真を置いていくか持って行くべきか、少しの間考えを逡巡させた結果、持って行く事にした。

決してその子が可愛いからとかではなく、ある種の予感がしたからだ。


遅かれ早かれ、この写真の少女について、嫌でも知らざるを得ないような状況に追い込まれるような予感。

俺はポケットに写真を入れると、先を行く神条さんの後を追った。

それからしばらく進むと、ようやく鉄格子ごしではあるが何筋もの光が射している場所に辿り着いた。距離的にも短かったとは思うが、俺にはひたすら長く感じられた。一刻も早くこんな場所から離れたい。

神条さんが、はまっていた鉄格子をそっと上に押し上げた。
それはギイィと軋み、耳障りな音を立てながら開いた。それと同時に外の空気が、通路の中へとゆっくり流れ込んでくるのがよく解る。俺達は周囲に誰もいないことを確認してから、通路から這い出てきた。
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