開かない窓
「・・・・・・差し入れだ。お前、好きだったよな。」

すごく優しげにそうゆうとマッチを取り出し、口に咥えながら火をつけた。

(神条さん、この為にここへ来たんだ・・・・・・。)

自分の事しか考えてないようで、実際は人一倍他人の事を考えている彼。俺は、そんな彼が作った即席の墓標にしばらく目を向けていた。

と、その時。

「ぐっ!?・・・・・・ぐぅえごほぐふがはぁっっ!!!」

突然の奇声に何が起こったんだと、俺は辺りを見回した。
周りには誰もいなかった。タバコを取り落とし、隣で涙目になりながら胸を叩いて転げている彼以外は。

(まさか・・・・・・)

「神条さん、タバコ吸ったことなかったんですか?」

「・・・・・・ねーよ。」
少し充血して赤くなった目を隠すように俯くと、聞こえるか聞こえないかの微妙な呟きを零した。

「ぶっ・・・・・・あ、すみません。」
堪えようと努力したけど、俺には無理だった。人間努力したってどうにもならなぃ事の1つや2つは必ずしもあるものだ。

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