開かない窓
「・・・・・・えと、本当に仲が良かったんですね。」

「昔はな・・・・・・最近は到底仲が良いと呼べるモノじゃなかった。」
彼は、何かを思い出したのか一瞬だけ露骨に不快な表情を浮かべたが、すぐにいつもの感情を消し去ったような顔つきに戻っていた。

俺は、そんな彼が気になって仕方なかった。

(そういえば昨日、月岡さんと何か話し合うとか言ってた・・・・・・その事と何か関係があるのか?)

「何が・・・・・・あったんですか?」

「・・・・・・・・・。」

それは、どうやら彼にとって触れて欲しくなかった事だったようで、今度は何とも言えない複雑な表情になった。

俺はどう声をかけていいものか解らなくて、先ほど通った芝生を本当に何の気なしに、見つめた。

すると、芝生の一点に日の光を受けて、キラッと光るものがあった。

(・・・・・・何だろ?)

近づいて見てみると、それは泥がついてかなり汚れた石だった。

どこかでこの石を見た様な気がしたのだが、思い出すことが出来なかった。
こんな小汚いモノを普通なら放っておく所だが、俺はテイッシュを取り出し、石をそっと掴むとそのまま包んで、鞄の内ポケットに仕舞いこんだ。
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