開かない窓
「え？ええ、まあ。」
俺は、すこし呆然としながらも慌てて相槌を打った。

「ふ～ん。よかったじゃねーか。」
彼はなんの気もなしにポツリと言った。それを聞いた俺は･･････正直言葉を失った。

（よかった？え、何が？晃が自殺してなかったって事が？それとも･･････）

「あ･･････いや、よかったってそうゆう意味じゃない。その、なんてゆうか･･････」

俺が何も言わなくなり、表情を強張らせたのを見てようやく自分の失言に気付いたのだろう。普段の、横柄な態度からは想像もできないくらいに彼は動揺していた。

「･････････。」

「口が過ぎたようだ･･････悪かった。」
口調自体は普段とほとんど変らないが、声に少し焦りを感じた。確実に悪気はなかったのだろう、奇妙な必死さが伝わるそれが、どこか滑稽でもある。

俺は、このまま何も言わないで放置するのも可哀相な気がしてきた。

「まだ、よくないですよ。だって今からそれを調べるんでしょ？」
俺は気にしてないのを装いつつ彼に言った。

「そう、だな。･････じゃあ、次はお前が知りたがっていた事だ。H・Yのイニシャルについてだが･･････」

俺はゴクッと唾を飲み込んだ。これが、自分の中では一番気になっていた事だから。
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