開かない窓
「H・Yのイニシャル入りのハンカチ・・・・・・これは涼夜が言ってたんだが、多分それは広中 有紀子って生徒のだ。」

(広中 有紀子。)

俺は心の中でその名前を繰り返した。・・・・・・やはり聞き覚えがない。

「広中・・・・・・その人、何年にいるんですか?」
俺が続きを促すと、彼は大きく息を吐いて言った。

「もうこの学校にはいない。その生徒は、10年前に旧校舎で自殺した生徒だからな。」

俺はその事実に衝撃を受けた。

(旧校舎で自殺した生徒がH・Y??え、それってつまり・・・・・・)

あまりに突然すぎて、思考が上手くまとまらない。つまり、あれか。霊が人を呪い殺したとかそっち系になるとゆう事なのか、これは。

「その子の霊が、晃や月岡さんを殺したって事ですか?」

「お前・・・・・・涼夜は首を切られて死んだんだろ?霊が刃物使って人を殺したと思ってんのか。」
彼の表情に俺に対する呆れが伺える。

「じゃあ・・・・・・」

俺は息を飲む。彼は、一度言葉を切って続けた。

「100%人間の仕業。そして、広中 有紀子の事をよく知っている奴の犯行である可能性が高いだろう。まあ決定的な証拠と呼べるものがない分、推測だけどな。ちなみに、その自殺した広中って生徒は当時、妊娠してたって噂だ。」
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