開かない窓
「あ~……悠里。」

「悠里?……って悠里か!」

「まあな…それよりお前、日本語おかしいぞ。」
日本語おかしい??んなもん知るか。
そんな事より、俺は予想外の相手に心底驚いた。あまりに身近にあった恋心に微塵も気づかなかった自分の無神経さを再確認出来た事を喜ぶべきか、戦利品が予想以上に美味しかったのを喜ぶべきか。

いや、ここは無難に……
「でもマジで良かったな~俺、応援するよ!」

「ああ、ありがとう。……なあ、優一。もし、もし俺に何かあったら、その時は…」

「ん??」
幸せそうな笑顔が一変し、不安気な表情を浮かべる晃。どこか怯えている様な気すら感じられる。

「優一、お、俺さ……わりい、やっぱやめとく」

「んだよ、言いかけといてやめんなよ!変態」

「なぜ変態!?」

呆れるように笑っていた晃の顔が浮かんでは消える。

もう二度とあの顔を見ることはないんだな……
死を受け入れた筈なのに、俺の目から涙が止まることはなかった。
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