開かない窓
俺はその人に見覚えがあった。
彼は確か、陸上部所属の蓮の先輩だったような気がする。毎日朝練を欠かさない努力家で、蓮がすごく尊敬している人だ。

見た感じ、確かに真面目そうである。顔立ちも割りといいので爽やかなスポーツマンタイプといったところか。

でもそんな男が何故警官と同伴登校しているのだろう?これが蓮ならわかるけど。
アイツなら、警察のお世話になってても俺は驚かない。

しばらく見ていると彼と警官は何か話した後、警官が彼に礼をして校舎を出て行った。


(こっちへくる・・・・・・)


俺は声を掛けてみようか迷ったが、やめておいた。
まず彼は俺の事なんて知らないはずだ。
現に、俺に見向くこともなくさっさと立ち去っていった。


(後で蓮に聞いてみるか)


そう思い直して、俺は自分の教室に向かった。
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