開かない窓

新たな恋心発覚!?

俺は、二年一組の教室の前で足をとめた。

左側の掲示板に、2ヶ月後に行われる、学園祭の知らせが貼ってあった。

中に、ひときわ目立つように、赤いPOPでデカデカと『このイベントで一生の友を作ろう!』と書いてある。

一生の。

…俺にとって、一生の友達は晃しかいなかったのに。

抑えていた涙が、今になって込み上げてきた。

(ちきしょ……)
手で熱くなった目頭を抑えていた、その時。


-----っ。



背後から視線を感じた。それも、ジットリとした嫌な視線…


(誰に向けられているんだ?まさか俺、か?)

嫌な汗が、頬を伝った。
心臓が早鐘のように脈打ってるのが解る。

俺は、視線の主を確かめようと、意を決して後ろを振り向いてみる事にした。


(いち、にの……さんっ!)



ーーーー誰もいない。



勢い良く振り返ったが、そこには誰もいなかった。

「チッ…んだよ、気のせいだってのか?」

冷静になると、なんだか気恥ずかしくなって思わず悪態をついてしまった。
今朝から色々ありすぎて、疲れていたのかもしれない。

気を取り直し、教室の引き戸に手をかけて、大きく息を吐いてから開いた。


手前で談笑していた男子グループが、こちらに視線を向けた。その内の1人が、「ようっ!優……」と俺を会話に入れようとして…他の奴らに慌てて止められていた。
「おいっ…マズいだろ…」

「何でだよ?えっ…マジで…」
ひそひそと話を進めているが、なんとなく何を言ってるのか解った。
結構知ってんだな…噂の渦中にいるであろう晃と、俺が仲良かったの。

「……おはよっす」
俺は自然な笑顔を作り上げ、彼等に挨拶をした。

目の前の男子グループは、お互いに目を合わせると、少し気まずそうに「はよっす」と返して、今度は声のトーンを落としながら会話を再開させた。


俺はなるべく意識しないように、自分の指定席まで歩き、席に鞄を置いた。

(あれ?)

いつもなら斜め前の席にいるはずの蓮の席が空いていた。辺りを見回して探してみたが姿が見えない。どうやらまだ来ていないらしい。

(アイツ……人にはフケんなとかいっておいて、まさか自分はフケてんじゃないだろうな?)

どこまでも勝手な奴だ。
これからは、蓮が授業の代返してくれよ~!と泣きついても絶対引き受けない事を、固く胸に誓った矢先。

「ちぃーす!よお優一!!ちゃんと来たな、エライエライ」

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