開かない窓
「ね、優一…」

「ん?どうした?」

「北条って、確か君の幼馴染じゃなかったっけ?」

「ああ、そうだよ」

「そっか。辛いね……何か力になれることがあったら言ってよ。いつでも相談にのるから」

「……ありがとな」

俺の感謝の言葉を聞き、嬉しそうに微笑むと前を向き直った。

この友人の申し出は、普通なら大変有難い事に思えてくる。


普通なら


しかし、悪いが今の俺は、この申し出を受ける程命知らずでも勇者でもない。

通称【疫病神】の異名を持つ、橘 ちはやに何かを任せると、いっそ何もしないほうが良かった!

と心から思えるくらい大惨事になって返ってくるのである。


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