開かない窓
「そうだな。お前がいなかったら・・・・・・間違いなくもっと早く帰れただろうな。」

「酷っ!!」

何が酷いものか。

このアホは、俺が必死で説得を試みている最中、横やりを入れてきたり、よほど退屈なのか無駄に凝った紙飛行機を作って、こっちに飛ばしてきたり…とまあ、様々な妨害をして、話の腰を折りまくっていたのだから。

蓮がいなければ確実に一時間は短縮したと思う。
でも俺は、あの時気にかかる事があった。
ちはやの意味深な台詞ーー


「だからな、何度も言ってるじゃないか。あれは事件とか事故とかって問題じゃ……」

「でも、さっきから事故にしたがってるじゃない。」

「してないだろ?俺はただ…」
さっきから何度同じ事を説明しているのだろう。
いい加減うんざりしてきた頃。

「わかった。じゃあいいよ。」
ちはやは、今までのやり取りはなんだったの?え、話聞いてたよね?と聞きたくなる位、急に引き下がった。

時計を見たら、もうすぐ蓮が楽しみにしているドラマが始まる時刻を指していた。

(まさか、こいつーー)

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