開かない窓
あの時、自分は何を言おうとして声を掛けたんだろう?

「また、明日」が言いたくて呼び止めたかったんじゃない事は解るのに、何が言いたかったのかがまるで解らない。自分の事なのに……

もどかしかったが、何時までもこうして悩み続けて立ち止まっている訳にはいかない。

俺は周囲に誰もいないのを確認し、さっきから呑気に鼻歌を歌っている蓮に、本題を切り出す事にした。

「でさ。あの事件の事なんだけど」

「んん?あ、月岡さんとの関わりだったっけ?どう言う事が聞きたい?」

「月岡先輩は、なんで警察に付き添われて学校に来たんだ?」
すぐに晃の事を聞かず、まずは当たり障りのない事から聞くことにした。
些細な事にも、何か重要なヒントがあるかもしれない。


「あれは、登校する直前まで事情聴取受けてたらしいよ」

「事情聴取?」

「うん。月岡さん、第一発見者なんだってさ…災難だよな」

「ああ、第一発……えっ!?」
あまり興味なさそうに話す蓮とは逆に、俺は全く驚きを隠せなかった。
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