開かない窓
「それは、妙だな・・・・・・」

「だろ?自殺にしてはおかしい場所だと思う。だって、わざわざ封鎖してある旧校舎に行って死ぬなんて・・・・・・」

蓮の言うことはもっともだ。
ただ自殺したいだけなら、別に旧校舎でなくても、良かった筈だし。
やっぱり、自殺の可能性は低いんじゃないか。

「じゃあ、事故・・・・・・か?」

蓮が控えめに言った。が、俺はその可能性を即座に打ち消した。

「いや違うだろ。事故だとしたら、自殺と同様に、晃は自分から旧校舎に行った事になる。何年も前から、閉鎖されてる建物に用があったとは思えない」

そこまで言って、俺は気付いた。

事故でも自殺でもないなら・・・・・・さっきもこの考えに行き着いて否定したばかりだというのに。
情報を得て、進展がある度にどんどん辛さが増していく。
押し黙る俺を横目にし、呑気そうに蓮が言った。

「やっぱ、こりゃ噂の旧校舎に出る幽霊の仕業かもな・・・・・・・」

「霊?って10年前に自殺したっていう生徒の?」

「うん」
「アホらし・・・・・・」
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