開かない窓

残酷な現実

「蓮！！お前いい加減にしろよ！」

すぐさま怒鳴りつけたら、相手は蓮ではなく予想外な人物だった。

「あ、すみません……また掛けなおします」

聞こえてきた声は蓮の低く、それでいてよく通るものではなく少し高くてか細い声だった。
てっきり蓮のアホが再度掛けてきたとばかり思っていたのに、明らかに女性からの電話だったのだ。

（誰だ？聞いたことあるような）

「あ、すみません！大丈夫です。どなたですか？」
俺が尋ねると、電話主は今にも消え入りそうな声で名乗った。

「優一君？こんな朝早くごめんね。北条晃の母です。」

晃のお母さん？

何度か晃の家に遊びに行った時に聞いた声だ。あの時はずいぶん声に張りがあって賑やかな人だと思っていたが、いつのまにこんな覇気のない声になったのだろうか？
ひょっとして低血圧なのかもしれない。

実は俺も朝はかなり苦手だ。
朝からテンションの高い蓮を見ると軽く殺意を覚えてしまう。