開かない窓
???章 うつし世

ただ、会いたい

(ここは……どこだ?)


俺は見知らぬ所にいた。辺りを見回すが何もない、空虚な世界が広がっているだけだった。


とりあえず、あてもなく歩き出した。当然どこへ向かっているのか、どこへ向かえば良いのかすら解らないまま。

しばらく歩いていると、人影らしきモノがうっすらと見えた。

(俺以外に誰かいるんだ!)

少しずつ移動しているらしく、ゆっくりと、でも確実に俺から遠ざかっていく。
俺は、それに向かって走り出した。

徐々に人影との距離が縮まって、ハッキリと後姿を捉えることが出来た。


(ウチの学校の制服?あれ、どっかで……)


捉えたその後姿には見覚えがあった。
綺麗に染めて、ハードワックスでツン立たせている茶髪。

制服を格好良く着崩し、首には、以前に悠里から貰ったと嬉しげに自慢していた、青い石がはめ込んであるプレートのシルバーネックレスが。


ベルトには、明らかな校則違反のシルバーチェーンが、それぞれ鈍い光を放っている。


俺は思わず息を呑んだ。

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