開かない窓
『な?深呼吸も意外に効くもんだろ?』

「ああ」

暗雲が立ち込めているかのように暗くて重たかった俺の心が、本当に少しずつだけど明るくなっていった。

俺は、晃にどうしても聞きたいことがあった。

話を切り出すタイミングを図ろうと、深呼吸をしながらチラッと横目で晃を見た。晃は目を瞑って、かなり真剣に深呼吸を繰り返していた。

そこまでマジになってやることないだろ…思わず吹き出しそうになるのを必死に堪えた。

何をやるにしてもそうだ、晃は昔からどんな些細な事でもかなり真剣になってやっていた。

見た目で不真面目な印象を持たれる事が多いが、実は、陰で血の滲むような努力をするような奴だ。

あまりに真剣なので、声をかけるのは躊躇われたが、意を決して話しかけることにした。
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