開かない窓
「晃のおばさん……?なにかあったんですか?」

嫌な予感がした。
少し控えめに尋ねると、何を思いつめているのか電話口から深い溜息が聞こえた。

蓮といい、この人といい……なぜ今日は電話でこんなに緊張しないといけないのだろうか?

しばらく待っていたが、肝心の相手は口ごもるばかりで何も言って来ないので俺は

「あの、もう学校に行く時間なので……」
と電話を切る際の常套句を言ってみた。

「待って優一君。あのね、今日……」

嗚咽が聞こえる。俺は多分、理由がわかっている。

「今日、どうしました?」


聞きたくないはずなのに、俺は聞き返していた。


「あ、ごめんね……あの今日、今日ね、学校で」


あ、その先は---


「晃が死んだの」


またかよ。
< 6 / 191 >

この作品をシェア

pagetop