開かない窓
(暑っつ……)

玄関を出るとまだ早朝だというのに、容赦ない日差しが目に焼きついて軽く痛い。
今年は、近年稀に見ない猛暑だとニュースで言っていた。


昨日の雨でぬかるんでいた筈の道が、完全に乾いている。


その時、人の気配を感じたので顔を上げると、少しうつむいているがよく見知った顔がこちらへ歩いてくる。


俺は思わず声をかけた。


「おーい悠里!」


その声に気付いた悠里はゆっくり振り返った。

「?あ、おはよ。」

「お、おはよう」

当然だが、悠里にいつもの明るさは全然なく、なお且つ無表情だった。はっきり言って恐い。

< 67 / 191 >

この作品をシェア

pagetop