開かない窓
「だから、相田君は今日一日真面目に授業聞くと思う?」

「どうだろうな、だって蓮だしな……」


蓮から、真面目に授業聞く!と宣言された時点で、新手の冗談かと思った俺は、既に答えが決まっていた。


「お昼賭けてみない?」

「いいぜ、のった」

「じゃあ、どっちか決めて。同時に言うわよ?せーの!」

合図と同時に、はっきりと言った。



「「聞かない!!」」



やっぱり…これも予想通り、見事に被った。俺達はしばらく無言で互いの顔を見合って、笑った。


「なんだ、優一君も聞かないと思ってたの?」

「当たり前じゃないか!ほら、蓮だぞ?ってか賭けにならないな」

「あはは、そうだね」

俺はやっと悠里の笑顔を見ることができた。
この前まで普通に見ていたはずなのに、ここ何年もみていなかった感じがする。

徐々に気まずさも消え失せ、やっと普通の関係に戻った俺達は、談笑しながら教室へと向かった。
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