開かない窓

勧誘=脅迫

俺達が教室に向かっている途中、渡り廊下のトイレから見慣れた女生徒が出てきた。

「あ、頼ちゃん!おはよっ!」

悠里が嬉しそうな顔を浮かべた。

(うっわ~頼かよ……)


その隣で、俺は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべた。

浜本 頼は俺達と同じクラスの生徒で、オカルト研究会(通称オカ研)の会長を勤めるオカルトマニアだ。
俺は、異常なまでにそのオカ研に勧誘されていて(新聞勧誘が可愛らしく感じるほどのレベル)、その全く手段を選ばない勧誘に、最近は生命の危機すら感じる。

ということもあって、俺は頼がかなり苦手なのだが…残念な事に、悠里とは非常に気が合うらしく、よく話している姿を見かける。

「頼~!」
悠里がそんな頼に向かって声をかけていた。この時、俺はもう逃げ出したい気持ちで一杯だった。

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