開かない窓
「………そんな言い方…」

頼の唇は少し震えている。何か言ったのだろうけど、その声はあまりにも小さく俺は聞き取ることが出来なかった。

「え?」

「ううんっ…私、ちょっと用事思い出したんだ!じゃあねっ」

頼は口早に言うと、そのまま俺達の方を全く見ずに教室を出て行った。

「変な奴……あ、まさか?」

俺にも3コ上の姉がいるからなんとなくそういうのは、解る。
姉貴もアレの最中はスゴく不機嫌になるからだ。何でも、相当痛くてシンドいらしい。
鼻からスイカが出る痛さとか、何とか。
きっと頼も今日がその日なのだろう、可哀相に。

俺がそっと哀れんでいると、隣にいた悠里が呆れたように呟いた。
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