開かない窓

逃避

(またか、出るべきか……無視すべきか…いや、大丈夫…だよな)

何が大丈夫なのかさっぱりわからないが、とにかく自分にそう言い聞かせていた。
が、やはり受話器を取る手が躊躇われる。

(……出よう。今更どうにかなるものでもないし)

意を決して受話器を取った。自然と受話器を持つ手に汗が滲む。


「朝早くすみません、今村君のお宅でしょうか?」

また女性の声だ。でも今度はすぐに誰の声か判った。

「悠里か?」

「優一君?あ、うん、ごめんね。こんな早くから」

「いや、いいんだ」

やっぱりだ。今度の電話主は藤村 悠里。
俺の幼馴染で隣近所に住んでいて、同じクラスという堂々たる腐れ縁だ。恋愛感情は恐らく皆無だろう…残念な事に。

昔は晃と3人でよく遊んだっけな~そんな感傷に浸っていると

「優一君?」

「あ、いやなんでもないよ。で?何か用か?」

「うん…さっきの雷すごかったね」

「へ?」
拍子抜けした。
女の子は雷やゴキ○リが苦手というのはよくある話だが、まさかそういう内容でかけているのだろうか。俺の思いをよそに彼女は淡々と話を続けた。
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