開かない窓

その生徒は周囲に誰もいないことを確認し終えると、突然窓枠に足をかけ、地面に向かって勢いよくジャンプし、綺麗に着地したのである。

驚く俺達を尻目に、彼は何事もなかったかのように服の埃を払っていた。相当慣れている感じがする。

「すっご･･････流石、月岡さん。」
頼が、感嘆の声を上げている。その声に俺は我に返った。

（月岡？････････ああっ！）

俺はようやく思い出した。彼を昨日の朝見たんだった･････。
記憶の糸を辿っていると、月岡先輩とバッチリ目が合った。

「･･････！？えっ、あ、人がいたのか！！」

彼は俺を見て、かなり動揺していた。よほど自分のやった事が人に見られたくない、後ろめたい事だと自覚していたみたいだ。

気付いたのなら仕方ない。俺は、軽く会釈して当然の疑問を口にした。