開かない窓
「ははっ、悪い悪い。今度からちゃんと下にも人がいないことを確認して飛び降りるよ。」
(そうゆう問題じゃないだろ)

多分全然悪いと思っていないだろう。こうゆう所、誰かさんにそっくりな気がする。

「じゃ、俺もう行くから。」

「あ、月岡先輩・・・・・・!」
俺はすかさず呼び止めた。顔を見るだけに、わざわざ来た訳じゃないんだ。

「え?・・・・・・なんで俺の名前知ってるの?」

月岡さんからの疑問に、頼が勢い込んで答えた。

「そりゃあ、この学校で先輩知らない人なんていませんって!成績優秀でスポーツ万能、非の打ち所がないんですから。」

「非の打ち所がない、か・・・・・・どうもありがとう」
これを俯きながら聞いていた月岡さんは爽やかな笑顔で、礼を言った。
頼は純粋に照れていたが、俺は少し寒気がした。

なぜなら、彼はひどく冷め切っていたように思えたからだ。
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