不良の弟
「そ…そうかな?…ありがと」
一応お礼を言ってみる。
誉められたらしいし、いるよね。
『分かった。夕方までには終わると思うよ?じゃ、明日11時に迎えに行くね。おやすみ』
何が分かったのかわかんなかったし、あたしはYESともNOともいってないのに!
勝手に話が進んじゃったのはどういうことだい?このすっとこどっこい!
って言うのはあたしの事で、自分で自分を怒るってなんだかとっても空しい…
昴くんが自分の言いたいことだけ言って電話は結局終了した。
何だ、結局昴くんも零たちと一緒なんじゃん。
期待して損したなぁ。
何か、ちょっと昴くんって思ってた人と違うかも。
…違う、そうじゃなくて…
昴くんが告白してきてくれた事は確かにすっごく嬉しい。
ベタな体育館裏で言われた時はとび上がっちゃったって言っても過言じゃあない。
ずっと憧れてた昴くんに告られるなんてどんな幸せ者だろう。
でも、梨花に報告したら引きつったような笑顔だったんだよね。
絶対何か隠してる。
今すぐ電話してみよう。
おうよ!はかせてみせるぜ!
妙にテンションが低いんだか高いんだか分からないあたしは早速ケータイをピコパコ押して梨花に電話をかけた。
『はーい。どぉしたぁ?詩織、こんな時間にぃ』
梨花がこんな喋り方をするのは決まって眠い時、そして眠い時の梨花は口が軽くなるという習性がある!
ラッキーいい調子だ。
「んー?ちょっとね、梨花に聞きたいことがあってね」
『何ーあたし眠いの~』
ふぁ…あくびをする音がケータイを通じてつながってきた。
相当眠いのね…
茶色い髪をくるくると巻いて、ジャージを着た梨花があくびをしながら言うところが想像できてしまう。
「梨花、今ジャージでしょ?」
『おぉー当ったりぃ~…で何?』
眠い前の梨花様は感情が不安定でもありますでございます。
変な日本語であたしの頭の中のガイドさんが告げた。