不良の弟




「俺の行きつけの店があるんだけど…そこでもいい?」


街中の方を指さしながら、昴くんが言った。
あたしはもちろん大きく頷く。
その様子にくすっと昴くんがまた笑った気もするけど…気のせい、気のせい。


ってか、行きつけの店ってどこだろう…?
ファミレスとかそんな事じゃないよね。
もっと大人の感じの店かな?
だとしたら、あたしのこの格好はとっても恥ずかしいものでは!?


大丈夫…かな。

どうしよう…


「ねぇ、昴くん。あたしのこの格好おかしくないかな…?」


ちょっとだけ昴くんのシャツの裾をつかみながら聞いた。
昴くんは、一瞬、ん?って顔した後、いつもの爽やかな笑顔になって


「大丈夫だよ。気にしないでいいから」


とあたしが気にしてた事をびしっと当てて言ってくれた。


きっと、昴くんは超能力を持ってるんだ!うん。そうしよう。
決してあたしが分かりやすい顔をしてる訳はない!


ほぼ、自分に言い聞かせるように言った。


普通に自然に昴くんは、あたしの手を握って歩き出した。
その行為がすごくあたしには新鮮で初めての事で変にもの凄くドキドキしてしまった。



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