不良の弟
半泣き状態のあたし。
周りは何だか柄の悪い人達と柄の悪そうなお店。
何て言うの…?闇とでもいいましょうか。
さっきまでの明るい雰囲気の町並みはどこへ行ってしまったのでしょうか。
普通にどうしよう!
「ね…ねぇ昴くん?どこまで…行くの?」
恐る恐る聞いてみたけど、反応なし!
だから、手を繋ぎながらも少し前を歩いていた昴くんが急に振り向いたのにはびっくりした。
「ぎゃっ!」
と言うより痛かった。
あたしは鼻をさすりながら、上を向いた。
そこにはちょっとだけ後ろを向いて、悲しそうに笑った昴くんがいた。
「す…ばるくん?」
「ごめん、ごめんね。詩織ちゃん。ごめんね」
…何度も謝る昴くんがいた。
「ど…したの?急に」
あたしは無理やり顔に笑顔を貼り付けて聞く。
自然に笑えなかった。
何故だかあたしには、嫌な予感ばかりがして笑えなかった。