不良の弟
ケータイ命
結局その日、家に着いた時間は9時過ぎで夕飯じゃなくて夜食になってしまった。
あたし、あそこにどんだけいたんだろう…
逆に何時間も偽ブラザーズと偽爽やか少年がゲームをしてるのを見てた自分を褒めてあげたい。
あそこであたしが切れたのも妥当と言うものだと思う。
おかげでお昼も食べ損ねていたあたしは何とカレーを3杯もおかわりした。
零に‘お前、ほんとに女?’って聞かれたけど、無視しておいた。
それよりもケータイがないというのは思った以上に大変だという事が分かった。
自分があのちっちゃい機械をどれだけ頼ってたのか身にしみる、というのはこういう事なのかな?
まず、梨花に連絡が取れない。
ケータイちょっと今持ってないから、返事なくても心配しないでね、とも言えない。
こんな事になるんだったら、アドレス帳とか作っとけばよかったかも…
本気で後悔し始めたころ、家の電話が鳴った。
家の電話、と言ってもごくたまーにあの夫婦の事を聞いてくる会社があったくらいにしか使ってないものだった。
その場合、説明するのがとってもめんどくさい。
だから、あたしは動かなかった。
どっかの会社なら一回で諦めてくれるし。
でも、もう一回電話は鳴った。
あたしはまた動かなかった。
また、電話が鳴った。
もしかしたら、会社じゃないのかも、と思い始めてあたしはようやく体を起こした。
「はい、宮内です」
「詩織っ!?」
聞こえてきた、優しい声は梨花だった。