不良の弟
「ここでいいかな?…人がいるけど」
梨花はそう言って、きょろきょろと周りを見回した。
え、そこあたしに聞いちゃう?
あたしに聞いちゃうの、梨花?
「いや…なんて言うか、その話の内容によるってか…」
しどろもどろながら、答えた。
梨花はあぁ、と言う顔になって笑った。
いつもの美人な笑顔で少しだけ安心した。
今までの梨花の顔があまりにも真剣で怖かったから。
「そうだよね。そうな事聞かれても困るじゃん。あたし的にはここでも大丈夫なんだけど…泣かない?」
な、泣かない?
その質問をまたそこであたしにしちゃうのか!?
「うーん…あのね、話によるって…」
「あぁ、そうだった!…じゃあたしのうち来る?」
梨花はまた思い出したように、笑顔になって首を傾げながら聞いてきた。
あたしは、ゆっくりと曖昧に頷く。
いいんだけど…
いいんだけど…ね?