不良の弟
「…であの、話なんだけど…」
梨花の部屋に入って、たっぷり5分かけて梨花は話し始めた。
あたしは出されたオレンジジュースをストローで吸う。
あ、意外においしい。
何かオレンジジュースって久し振りに飲むとおいしいよね。
「詩織っ!ごめん!あたし、詩織に隠し事してた…」
「隠し事っ?何か悪いもの…?」
「多分…昴くんの事なんだけど、」
正直、いきなり出てきた言葉に面食らった。
昴…昴のことね。
「あんなやつ!昴でいいよ。昴で」
ふんっと鼻を鳴らして、そっぽを向いた。
梨花はぽかんとした顔でこっちを見ている。
そりゃそうだよね。
だって、この前まであたし、‘昴くんってば本当にかっこいいよね!’なんて普通に言ってたんだもん。
今となっちゃ、あの頃のあたしは馬鹿の塊でしかない。
…そこ、変わってないとか言わない。
あたしの脳内の住人が笑ってる。
ムカつくぜ。
「…で?隠してた事って?」
イライラしてたせいか、ちょっと冷たい言い方に後悔した。
でも、梨花は気にせず話始めた。
ずっと、何かを隠してると思ってると思ったあたしの勘は当たってた。