不良の弟
2,最悪最低
隠し事
「えっと、す…昴の事なんだけどさぁ…」
遠慮がちに昴と言いながら話し始めたのは、ちょっと吹き出してしまった。
そしたら、‘せっかく話し始めたのに’とぶつぶつ言われながら睨まれた。
さすが、本家仕込みだけあって零といい勝負だった。
梨花があたしに話した‘秘密’はこうだった。
入学当初から、昴くんの事は地元で有名な不良だったから知っていたこと。
あたしは、地元じゃないからもちろんこの事については知らなかった。
というか、知ってたら今までの事はなかったよね、うん。
それは、あたしが風邪で休みの日に起こったらしい。
放課後みんなが帰ろうとしてた時に、バァンと大きな音をたてて入ってきた輩がいたらしい。
案の定…オレンジと緑だった。
そして、こう言ったらしい。
‘宮内って奴がいんだろ。そいつに俺らの事を言った奴がもしいたとしたら…お前ら分かってんだろなぁ?’
「ちょっと待って。蒼とか海とかってオレンジと緑なの?」
「オレンジと緑?…あぁ、蒼先輩と海先輩ねー」
「ふーん。蒼?色違くない?ってか、どっちも見た目に似たわず涼しそうな名前だこと」
「んーと、緑が海先輩ね。で、蒼先輩がね。ややこしいけどね~」
話を中断してもらって、聞いたけど余計よく分かんなくなった。
取り敢えず、オレンジはオレンジ。
緑は緑。
だよね。
…そこ、理解してないだけとか言わない。
馬鹿だから、とも言わないの。
最近、頭の中の住民がうるさくってねぇ…