不良の弟
泣いてる梨花はやっぱり可愛かったから、昨日あったことは話さない事に決めた。
「あ、そう言えば何でケータイないの?」
急に梨花が顔を上げてあたしを見つめる。
はぁ~…
この可愛さがあたしに何分の一かでもあればなぁ…と溜息が出る。
「置いてきちゃったみたいで。ちょっと今持ってないんだよ」
嘘は言ってない…はず。
「詩織…何か隠してる」
早速ばれた。
何で?
あたしって天然な上に顔に出やすかったりするの!?
それすっごく不便!
しかも頭悪いって!
…何か悲しくなってきた。
「なーんも隠してないよ?気のせい、気のせい」
「わかるしね?詩織、嘘つくとき変な顔になるから」
ドバッ並みの血がマンガだったらあたしの体から出たと思う。
梨花…あんた今日、毒舌だね…
今思えば、梨花の毒舌は今に始まったことじゃなかったかも知れない。
いっつも何かに傷ついてる気がするのは、あたしの勘違い…?
であってほしい…
鏡を梨花が貸してくれなかったため、自分の変な顔を確認することができなかった。
本当に変な顔だったら、どうしてくれるつもりなんだろう…
…梨花のせいじゃないけども。