不良の弟
「と、にかく。大丈夫だって!ケータイないだけ」
引きつってないか多少の心配はあるものの、某有名飲食店の店員さん並にスマイルを作れた。
「噛んだ!噛んだしね!もう決定だ。何か隠してる」
「隠して…ないってば」
「ほら、ためた!一瞬ちょっと罪悪感が生まれて止めたんでしょ!」
…当たってる。
「ちが…うよ」
「また!今のは、絶対図星だからだ!」
何でこんなに鋭いんだろう…
すっかり、何も言えないくなってしまった下を向いて俯いた。
「詩織…話してよ。あたしそんなに頼りない?何にも出来ないかも知れないけど…相談になら乗るよ?」
あたしの心の中で‘話したい’と言う感情が生まれた。
でも、言ってしまったら。
言ったら、きっと梨花はきっと悲しむ。
折角話してくれたのに、遅かったって事に。
梨花が痛い目に合わなくて良かったとは思うけど、梨花を傷つけてしまう事に違いはない。
なら、あたしが黙ってたほうが。