不良の弟
「は、えっ!?だ、だだだだ大丈夫!?そんなに怖かったの…?」
さっきの立場と逆転して頭を撫でながら聞いてくれた。
涙を止めるように努力して、笑顔を作った。
「違うよ…梨花が優しすぎて。心配されるのなんて、慣れてないし…何だろ、何でだろ…嬉しかったんだ」
「そっか…とりあえず、そんなにひどいことされてないんだね?」
こくり、と頷くと梨花がパァと可愛い笑顔になった。
さすが美人。
笑っただけですごい迫力!!
「逆に説教してやったし!缶ビールもぶつけてやったし!ケータイ忘れたけども」
ピースを決めて、言ったら声を上げて笑われた。
零も梨花もいい人だ。
あたしはそれに甘えてる。
この世の中に酷いことをする人は星の数ほどいると言うのに。
2人がいなくなってしまったらあたしはどうすればいいの?
ふと、そんな考えが頭をよぎった。
でもそれ以上考えるのは怖くて考えないようにした。