不器用なLOVER
First approach
目の前に広がる敷地に、
そびえ建つ校舎、
呆然と独り立ち尽くす。

【引っ越すことになった】

時期外れの父の転勤が決まり、
これまで住んでいた街を出ることになった。

やっと入った高校も転校。

それも仕方ない…。
新しく越した家からは遠すぎる。

だからって…
この高校じゃなくても…

【時期外れだから新しい高校は…】

そう言えば…あの時、父の説明をあんま聞いてなかったかも…。

【…そんな訳で試験はなくていいそうだから】

そうだ、転入試験なしに浮かれてたっけ…。

抑、何故独りなのか…。
普通こんな時は保護者同伴じゃない

そうだ、確にさっきまでは父も来ていたのだが…。

【悪いな、晶。仕事だから仕方ない。理事長によろしく言っといてくれ】

会社からだろう呼び出しで取り残されたというわけ。

ひとり回想に耽っていた…
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