不器用なLOVER
どうしよう…。

昨日の今日で会いに行っていいのかな?

渡り廊下をジグザグと歩き時間を大幅に掛ける。

朋弥さんのこともあるし、
透弥さんには我慢させてるし、

会いたいけど…、
ぎゅってして欲しくなっちゃうしキスして欲しくなっちゃうから。

透弥さんにもっと我慢させちゃうことになっちゃうんだよね…?

真ん中程まで行って立ち止まり、くると一転して戻ろうとした腕を掴まれる。

「どこ、行くつもりなの?」

壁に寄り掛り私を見下ろす、

「透弥さんいつから居たの?」

予想外の登場に慌ててしまう。

私の質問には答える様子もなく、

「会長室は逆だよね?」

私の返事も待たず腕を引いたまま歩き出してしまった。

会長室に入って鍵を閉めると、

乱暴にソファへ座らされ、

「説明して。用があって帰るならいいけど、もし…朋弥のこと気にしてるなら、晶は気にする必要ないから」

朋弥さんのこと?

あっ…途中から忘れてた?

透弥さんのことでいっぱいになっちゃって…。

ぎゅってして欲しいのは、

掴まれたままの腕に視線を移す。

透弥さんも気付いて手を離し、

「ゴメン…乱暴だったね」

透弥さんが睫毛を伏せた。

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