不器用なLOVER
登喜子は塾行ってて問題ないし、真姫は家庭教師が彼氏だから…。
衣里も大病院の娘だしね。

やっぱり私だけか…。

透弥さん出来の悪い生徒で、
ごめんなさい。

「…知ってるカナでしょ?
宮原透弥に遊ばれたって」

隣の会話につい反応してしまう。

「アイツ顔だけはいいからねー、性格最悪だけど。ざまあみろって感じじゃない?」

いつかの透弥さんと朋弥さんの会話を思い出す。

【…一昨日連れてたカナさんとは別れたの?】

透弥さんが朋弥さんに言ってた。

「…でもさ、あの宮原透弥になら一回遊ばれてみたくない?」

「言えてる」

隣の子達が席を立ち横を通り過ぎていく。

「晶?どうかした?」

真姫が顔を覗き込んでいて、

「惚けってしてるよ?」

登喜子に見つめられる。

相変わらず雑誌に夢中みたいで、

三人共今の会話を聞いてなかったようだった。

私が透弥さんの名前に敏感過ぎるんだよ。

でも、断片的だった会話のピースが少し繋がった気がする。

でも肝心なことが分からない。
透弥さんは知っているのに何故か見過ごしていること。

抑、朋弥さんはどうして透弥さんになる必要があるのか。

二人は従兄弟だけど唯それだけの関係なのかな?


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