不器用なLOVER
真姫が突如一つ大きく手を叩いて

「今思い出した。朋弥先輩と会長って大喧嘩したことなかった?」

衣里は頬に手を当て少し考え、

「大喧嘩というよりは朋弥先輩が一方的に会長に怒鳴り付けてた感じじゃない?」

登喜子は、ジュースをストローで意味もなく掻き雑ぜ、

「朋弥先輩は悪くないとおもう。会長が何かしたんでしょ?言い返さなかったんだから」

呟いた。

「それいつ頃の話?理由は?」

私の食い付きに、

真姫は目を丸くする。

「3年前だよ。丁度中等部での履修課程が終わってた3年生の登校日の日だもん」

手を止めずに登喜子が答えた。

「詳しくは知らないけど、
噂では朋弥先輩が会長の…」

衣里の口が重くなる。

透弥さんの何?

「彼女を寝盗ったんだよ」

真姫の告白に衝撃で眩暈がする。

待って、だけどそれでは繋がらないじゃない?

「朋弥さんが透弥さんに一方的に怒ってたんでしょ?
朋弥さんが盗ったのに?」

登喜子が憎気に、

「だからさ…サッカー引退した頃から会長には黒い噂があったの。その時は朋弥先輩もあったけど」

「黒いっていうか…、他校の子と一緒だったとかいう可愛いものだったけどね」

真姫が付言した。

「だけどその喧嘩以来会長の方はエスカレートしてったし、朋弥先輩の方はピタッと止んだんだから」

登喜子も断言した。


< 114 / 315 >

この作品をシェア

pagetop