不器用なLOVER
まだ映画の映像が頭に残ったまま向かえた、日曜の朝。

「どうしよ透弥さん来ちゃうよ」

勉強に行くのは分かってるのに、鏡の前でショーを繰り広げている

「これよりさっきの方が…やっぱこれとこれかな?う〜んこっち?」

ベッドに積み重ねられた服の山に手を伸ばし、下から掘り出すと…崩れ落ちる。
気にせず引っ張り出した服に袖を通した。

「えっダメ…透けてるし」

携帯の着信が鳴り響き、

時計を見れば1時間は過ぎてた。

着メロだけで透弥さんからだって分かってる。

仕方なく重ね着して最終確認。

「よし」

階段を駆け下りる。

玄関前の鏡にもう一度全身を映す

バルーンスカートの下のレギンスを揃え
重ね着キャミに覗かせた線を隠す
手櫛で髪を整え、
卸したてのミュールを履き、

扉を開ければ、

「お待たせ」

「おはよう」

大好きな人が目の前に居る喜びに

「透弥さん」

抱き付く。

支えてくれた腕は空中でさ迷って

「晶…家の人は?」

「今日は仕事…」

上目使いで見上げる。

「ぎゅってして…」

「子供みたいだね?」

抱き締められる。

その胸に顔を埋めて、

「透弥さんだって…」

「僕?…確かめてみる?」

見上げた瞬間深いキスが降る。

透弥さんの熱をいつの間に好きになってた。

その熱をいつも期待してしまう。

熱で溶けてしまうこの感覚が、
大好き。

< 120 / 315 >

この作品をシェア

pagetop