不器用なLOVER
「うるさい」

顔に腕を押し付けた。

これって透弥さんの照れ隠しの癖

いつもは上手な透弥さんに勝った気がして調子に乗ってしまった…

「しょ…しょうがないからね」

少し上擦りながらも、

「どうしても透弥さんが会いたいなら…」

強気発言をして、

「空けてあげてもいいよ」

透弥さんを見れば、

目を細め、

「そう…空けてくれるの?」

口先だけで、

「ありがとう…嬉しいよ」

ゆっくり口角を上げ、

「晶に、最高に素敵な想い出を…用意してあげるよ」

微笑んだ。

不覚にも透弥さんに見惚れて、

「その代わり…平均点以上なんて低い目標は止めて上位10位内に、変更だよ?」

透弥さんの企みにまんまと乗せられてしまった。

レベルの高いブルジョア集団の中でベスト10位内なんて私にしてみれば、中卒で東大受験するぐらい大変なことなんだよ?

透弥さん本気なのかな?

冗談だよね?

「晶なら出来るよ」

空っぽになりかけの頭で…。

勉強頑張らなきゃと強く思った。

後は脱線せずにひたすら透弥さんの必勝ノートと向かい合った。

時間も忘れ励んでいた私に、
透弥さんも何も言わず付き合ってくれた。


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