不器用なLOVER
私の名前があるはずないのに、
丁寧に順番通り見ている。

真姫が辛うじて10位に入ってた。

「これ私の友達」

嬉しくて透弥さんに教えるけど、

軽く頷いて、先へ進む。

13番に衣里が15番に登喜子の名前があってその度に透弥さんに報告するけど、軽く頷くだけで興味なさそうだった。

いつも首席の透弥さんにとってはこのぐらいの順位はないのと同じなのかな?

それでも私は三人の名前を見付け満足してた。

他に知り合いもなく、私は表から透弥さんに視線を移し首に絡みに付く。

「あっ…」

透弥さんが当たり前の物を見付けた感じで声を出す。

「ん?」

私は絡みに付いたまま目も開けずに答える。

「19位…里中晶」

透弥さんが読みあげ、

体を起こすと、嬉しそうに目尻を下げて表を見つめてる透弥さんの顔がある。

見れば確かに19位の下に私の名前があって…。

「うっ…そ。同姓同名だよ?」

「何言ってるの?晶のことだよ」

透弥さんはやっぱり自分の首席より朋弥さんの名前より、それを一番喜んでくれてるのに、

「あの…でも、約束は…」

素直に喜べない。

私を床に下ろし、

「どうして?僕ベストテンなんて言った?」

躊躇いがちに見つめれば、

目をそらしたまま、

「上位…十位内って言ったよね?勝手に聞き間違えたんでしょ?」

十の前に小さく『に』を入れて、呟いた。

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