不器用なLOVER
授業が始まった廊下は静かで、ここが職員室の前だっていうことも忘れてしまう。

「それより、このまま授業出る気ないでしょ?」

先週末の朋弥さんとのこともまだ聞かれてなかった。
きっと皆聞きたくて堪らないはず

途中から合流して更に目立つ勇気なんてなかった。

「透弥さんは?」

透弥さんも授業中のはずなのに、まさか私と同じ様に掲示板見るためってことはないよね?

「僕は今週末の体育祭と後夜祭の準備のため免除されてるから」

そっか…生徒会長で忙しいのに、学園の行事運営に、理事長代理の責任まで被ってるんだった。

「私も何か手伝う」

少しでも透弥さんの役に立ちたい

そう両手を胸の前で握り訴えた。

片眉を上げ、

「すっかり忘れてるようだけど…晶も、実行委員なんだから当然でしょ?」

そうだけど…。

具体的に何かしろって指示があるわけじゃないから。

「授業免除の届けは僕がもう受理してあるから」

私も夏休みまで授業受けなくてもいいってこと?

首を傾げる。

「授業免除に喜んでないで、僕のサポートしっかりしてよね?」

サポート?

「何すればいいの?」

益々首を捻ってしまう。

「喜んでたことは認めるんだね」

目を細めて、

「授業受けなくてもいいことを、喜んでたんじゃないもん」

私の焦りにも、動じず、

「じゃあ何を喜んでるの?」

口角を上げる。

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