不器用なLOVER
隣で溜め息を吐くので見上げれば

眼鏡を押し上げ、

「余計な事言ってないで早く仕事戻りなよ」

彼を見据えた。

「ヤベっ怒られた」

小さく舌を出して、

「すいませんした」

小走りで去って行った。

一転してデスクに戻った透弥さんの横に寄り添う。

「次は何するの?」

「次は…」

静かに眼鏡をデスクに置き
腰に手を回して引き寄せ

「しばらくこのまま…」

ポスッ

顔を胸に埋めた。

鼓動が高鳴り、体温が上昇する。

恥ずかしくて何か言わなきゃって焦って…、

「あの…、こうゆうのって大きな胸の子の方がいいんだよね?」

見開いた目で顔を上げ見つめられ

なっ…何、口走ってるの

後悔して慌てて誤魔化そうとする

「透弥さんの胸は均整が取れてるっていうか、ぎゅってしてもらうと落ち着くっていうか、私は大好きで…」

弁明しようとすればする程余計な事を言ってしまいそうになって口籠った。

再び顔を埋め、

「好きな子のが良いにきまってるでしょ?…ドレスを着る時には、大き過ぎは品がなくなる。小さ過ぎは見栄えない」

ん〜と、つまり大きくはないけど小さくもないって慰められてるのかな?

「それに晶は…僕の理想だから」

理想?
それをいうなら透弥さんだよ。

透弥さんを抱き締める。

自分で押し付けてるみたいだけど今は気にならなかった。

ただ嬉しくって。
もっと近くに感じたかった。

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