不器用なLOVER
二人の会話に当然介入出来るはずもなく…。

避けるようにうつ向いた。

「スウィーツはお好きですか?
甘味をフルーツで採ることに因りカロリーを押さえてます」

スウィーツの苦手な女の子なんているのだろうか?

生唾を飲み込む。

タイミングよくお腹まで鳴ってしまって…。

「丁度試作品が有りますがいかがですか?」

恥ずかしさで慌てて手を顔の前にかざし首と同時に振る。

「せっかくなんだし頂いたら?」

透弥さんの申し受けに、

スウィーツで埋め尽された。

一つを手に取り頬張れば、

「甘〜い美味しいです」

思わず感想が溢れた。

「ほら、クリーム付いてる」

透弥さんの指が頬に触れ、
そのまま口に運ばれる。

「確に甘い」

顔を赤くした私を暫く見つめ、

目を細めてシェフと向き合う。

「予算は見直します。
このまま進めて下さい」

力強く断言した。


食堂を出る透弥さんの腕を掴み、

「い…いいの?」

立ち止まると私を見据え、

「晶は気に入ったんでしょ?」

躊躇いがちに頷く。

「ならいいんじゃない」

表情も変えず再び歩き出す。

「さあ予算をどこから産出しようかな?」

ほんの少し満足気にしてるように見えるのは、

私の気のせいなのかな?

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