不器用なLOVER
その日を境に、

登校して直ぐ教室ではなくて、
会長室に向かい。

ダンスフロアの準備に、
体育祭で使う小道具の準備と、

備品の補充と補修。

ホントに目が回る忙しさだった。

透弥さんも武道館と体育倉庫を、何往復も繰り返してる。

私は透弥さんに付き添うだけで、無駄にウロウロと慌ただしそうに見せているだけみたい。

放課後遅くまでバタバタと走り回る日が続いてた。

「ゴメン晶、体育祭で使う応援団の団旗なんだけど」

そう差し出された紅白2枚の旗を

「直せないかな?」

拡げて見せる。

見れば、各々学園の紋章が入った団旗は伝統的で、縁が所々解れている。

「これぐらいなら多分大丈夫」

軽く返事をした。

「本当?業者に依頼してる時間もなかったから」

業者に依頼って?

凄く簡単に考え過ぎた?

慌て出した私に気付かず、

「確認が遅くなって焦ったけど、晶のお陰で助かるよ」

安心した顔をするから、
言い出せなくて…。

「うん…頑張るね?」

引き受けてしまった。

「そう?なら後の準備は僕の方でするから晶はそれ頼むよ」

私一人会長室に残して、
透弥さんは他の準備に向かった。

取り敢えず、ホームEcルームからミシンを持って来ようと会長室を後にする。

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