不器用なLOVER
言葉を選ぶように、
噛み締めるように、
ゆっくり話し始める。

「人の気持ちが最優先で、
他人に敏感過ぎで、
どんな立場に置かれて、
何を求められてるのか、
瞬時に計算してやって退ける」

【出来て当然で出来なければ…、宮原が恥をかくことになる】

透弥さんの言葉と重なって
胸が押し潰されるように苦しい。

「ガキの頃からそんなプレッシャー…耐えらんねぇよ。
少しでも楽にしてやりたかった。
アイツがやること必死に覚えて」

朋弥さんが努力してたこと
透弥さんは知ってるよ?
透弥さんはちゃんと見てたよ?

「そのくせあの宮原って家は、
ガキに何を望んでんだか次々に
新しいこと始めさせてよ。
子供なんて思ってねぇよ…
後継者としか見てねぇ」

【mischivous boy 悪戯っ子って意味…】

そう言った時の、
透弥さんの顔を思い出してみる
けど、表情が思い出せない。
初めての透弥さんの家に浮かれてたから?
まだ無表情の仮面を外せてなかったから?

違う…。

ホントに他人事のように話してたからだ。

【母のブランドだから】

そう言われるまで分からなかった

「付いてくのがやっとだったから
透弥の代わりなんてなれなかった
アイツの影武者のつもりなんて…笑わせるよな?」

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