不器用なLOVER
eighteenth fairy tale
透弥さんが宮原を捨てるって…。

「冗談だろ?」

朋弥さんを直視したまま。

「簡単に言うなよ…。
宮原を捨てるって意味分からねぇはずねぇよな?」

黙って眼鏡を押し上げる。

「宮原を捨てるより、晶ちゃんを認めさせる方が先じゃねぇの?」

「もちろんそのつもり」

透弥さんが口を開く。

「唯、晶に危害を加えた場合だよ覚えて於いてよね朋弥…」

朋弥さんが溜め息を吐き、

「脅しかよ?俺は加える気はねぇけど宮原の頭主はどうだろうな?
家柄が第一主義じゃん?
見返りのねぇ縁組はしねぇよな」

透弥さんが眉を潜めた。

「分かってる」

成り行きを見守ることしか出来ず

沈黙した二人の次の言葉を
息を詰めて待っていた。

「…なぁ、宮原の家を潰すことはグループ下の会社全て潰すことだ。そこで働く全従業員の家族だけが犠牲になんじゃねぇよな?
取引先にその関係会社下手すりゃ世界恐慌にだって成り得んだ」

透弥さんが背負うモノの大きさに考えただけで目眩がして。

倒れてしまいそうだった。

「妾ってことは?」

「有り得ないから」

朋弥さんの発言を、
透弥さんが直ぐに否定してくれ、
涙が溢れてくる。

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