不器用なLOVER
いよいよ明日が本番で、
自然と気合いが入る。

偶数組は赤組
奇数組は白組

因って22HRの私は赤組で、
37HRの朋弥さんと、
35HRの透弥さんは白組。

「私も白組が良かったな…」

透弥さんと手を繋ぐ帰り道で、
呟く。

「仕方ないよこれだけは、
晶のお願いには弱いけど…
今更僕でも変えられない」

「分かってるよ。でも同じクラスにも同じ学年にもなれないから。せめてって思っちゃうんだもん」

透弥さんの手を握り締める。

「どちらにしろ僕達は実行委員側の席だから近くに居られるはずだけど?」

紅白で東西に別れて、
その後学年別に別れて、
最後にクラス別に別れるという
席順では透弥さんとは、
近付けないけど…。

実行委員側の席は、
北側の来賓者席の隣にまとめられているので、隣にだって座れるかもしれない。

「相変わらず…単純なんだから」

いきなり上機嫌になった私を見て透弥さんが呟くけど、

今の私はそんなこと気にならない

「そう言えば…応援合戦の時に、女子初の実行委員である晶には、チアリーダーの格好って案があったけど…」

「えっ?嘘、チアリーダー?」

透弥さんが話終える前に
驚き過ぎて声をあげる。

「もちろん却下させたから」

口角を上げる透弥さんを見て、

「からかったんだ…」

頬を膨らます。

その頬を指で突々き、

「僕以外の男に晶のそんな格好は見せたくないからね?」

目尻を下げるので、
照れ臭くなって、

「透弥さんにも見せないよ」

いじけた振りをするけど、
やっぱりお見通しみたいで…、

「そう…残念」

前を向いて無口になり、

「透弥さん…?」

心配になって見上げると

唇が降ってきた。

「晶が意地悪言うからだよ?」

ホントに触れるだけのキスの後に透弥さんが囁いた。
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